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横浜地方裁判所川崎支部 昭和38年(ワ)323号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕以上認定の事実によると、高山は本件家屋を建築してその所有権を原始的に取得した後、売買によりその所有権を被告会社に譲渡し、昭和二九年二月二九日被告会社名義の前記所有権保存登記を経由したところ、他方その後昭和三八年八月二七日原告は高田から本件家屋を競落したが、本件家屋については被告会社名義の前記保存登記より先に、昭和二八年七月三一日受付の高田名義の前記保存登記がされていて、この保存登記に基づいて原告は右競落による所有権移転登記を受けたことになる。そうすると本件家屋については二個の所有権保存登記がされていることとなるが、凡そ一個(一棟)の建物について内容の矛盾、重復する二個以上の保存登記のなされることは一不動産一登記用紙主義を定めた不動産登記法第一五条の趣旨に反するものであるから、重復、矛盾する前記二個の保存登記はそのいずれかが有効であり或いは無効であるか二者択一的にその効力が決められなければならない。もつとも高田名義の前記保存登記は、その登記の際本件家屋は建築に着工後未だその完成前であつたことは先に認定したとおりであり、またその当記当時本件家屋が登記し得べき不動産たる建物としての域に達していたかどうかについてもこれを明らかにすべき証左はないが、然し仮りに目的たる家屋が当記当時未だ建築工事中であつて、その登記は目的物を欠く無効のものであつたとしても、その後予定された建物の完成とともに目的たる建物所有権は充足されて効力を有するに至るものと解すべきであるから、本件家屋が登記当時未だ建築工事中であることの故をもつて前記保存登記の効力を否定することはできない。更に又高田名義の前記保存登記は、先に認定のとおりその建物の表示が本件家屋(現況)と建物の種類及び床面積において相違があるが、建物所在の順番、建物の構造は一致しており、そして証人斉藤東作、同野晃好の各証言並びに原告代表者尋問の結果に弁論の全趣旨を併せ徴すると、他に混同される建物は同一地番上に存在せず、登記簿表示の建物は実在の本件家屋に関するものと認められ、且つ高田においても本件家屋について保存登記をする意思でこれを申請したことが明らかであるから、前記程度の表示の程違をもつて無効な登記となすを得す、かかる不一致は更正登記をもつて是正され得るものである。そうすると或る建物について一旦登記がなされた以上、その被同一建物についてなされた登記は効力がないと解すべきであるから、被告会社名義の前記保存登記はその効力を認められない。(田辺康次)

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